暑かったり、涼しかったり、日ごとに気温が変わりますね。
皆様も、お体には十分な注意をしてください。
弁護士から手紙をもらったことがある方はいらっしゃるでしょうか。
あまり有り難いことではないですね(笑)。
手紙を出す場合、普通郵便、配達記録郵便、書留郵便、内容証明郵便など色々な方法がありますよね。
弁護士が手紙を出す場合には、ケースごとに、慎重に郵便の方法を検討します。
例えば、消滅時効期間が経過しそうな債権の請求をする場合には、必ず、配達証明付きの内容証明郵便を選択します。
これに対して、刑事事件の被害者に手紙を送ったり、交通事故や不貞行為の被害者に手紙を送ったりする場合には、普通郵便を選択します。
弁護士名での内容証明郵便というのは、証拠が残るだけでなく、送る相手の方にかなりの圧迫感を与えますので、感情を害してはまずいケースでは使わないんですね。
では、弁護士が手紙を書く場合と、本人や他の資格者(司法書士・行政書士・税理士など)が手紙を書く場合とで何か違いがあるでしょうか。
「餅は餅屋」という格言通り、紛争案件では、弁護士が手紙を書く場合と、本人や他の資格者が手紙を書く場合とでは大きな違いがあります。
例えば、本人の名前で手紙を書いても、弁護士から見ると「これは弁護士が書いてるな。」「これは弁護士が書いたものじゃないな」と一読して判ることが多いです。
では、何が違うのでしょうか。
ポイントとしては2つの点があると思います。
一つ目は、弁護士は、司法試験の勉強と司法研修所での研修で、法律の要件・効果を徹底的にたたき込まれています。
ですから、紛争案件で、一定の法律的な効果を発生させるための要件となる事実(これを「要件事実」と呼んでいます。)を、必ず意識してしまうんですね。
ですから、紛争案件では、たった1枚の手紙を書く時にでも、法的に書かなければならない事実を意識して書くことが多いです。
二つめとしては、弁護士は裁判所が戦いのフィールドですから、初めて手紙を書く時にも、後の裁判を意識して書きます。
「これを書いたら、後々、裁判で不利だな。」と判断したら、そのような事実は敢えて書きません。
逆に「これを書いておいた方が裁判で有利だな。」とか、「これを書いておいた方が裁判前に紛争を早期に解決できるな。」と思われる事情は、積極的に盛り込んでいきます。
ですから、人と人との紛争が始まった時には、裁判を含めて、その後の事件の解決方法の見通しをして、書面を作るんですね。
ですから、弁護士が書いた手紙には、弁護士だけに分かる言葉の選び方があるんですね。
私も、法律相談をお受けする場合に「こんな事実や法律構成を書いたら、相手に手の内がバレバレだな~」という文書を見かける場合があります。
もちろん、そのような文書は、弁護士が書いたものではありません。
ですから、ある程度大きな紛争案件では、最初の手紙を出す所から、弁護士に依頼した方が有利になることが多いんですね。
「弁護士のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。