9月も中旬を過ぎ、夜は少し涼しくなってきましたね。
さて、今日は、音楽の趣味と関連させて、民法上の特定物と不特定物について考えてみました。
私が中学3年生の時に購入したモーリスのアコースティックギター。
当時、「モーリス持てばスーパースターも夢じゃない」と宣伝されていました。
それが、夏前に「ブリッジ」という部品が外れるなど、だいぶ古びてきました。
そこで、30数年ぶりに、新たにアコースティックギターを購入することにしました。
では、このギターは民法上の「特定物」でしょうか?
それとも「不特定物」でしょうか?
民法の世界で、当事者がその物の個性に着目したものを「特定物」、そうでなく種類・品質・数量等に着目して個性を問わないものを「不特定物」と呼んだりします。
自動車でいうと、新車は同じ車種の同じグレードなら、どれでも良いので「不特定物」、中古車は1台々程度が違うので「特定物」になります。
私はギターを買うために、お茶の水や渋谷の楽器店を回って、試奏を何回もしました。
そして、渋谷で弾いたBreedloveというギター工房のC-25Customというギターを選びました。
マイナーなメーカーですが、アメリカでハンドメイドクラフトを大切にしているメーカーです。
Breedloveというのは工房の代表者の名前です。
私は、店頭に置いてあり試奏した「このギター」と特定して購入しました。
ですから、ギターの売買契約においては、特定物としてギターを購入したことになります。
他の店では、MartinのD-18シリーズを弾いていた人が、お店の人に「これにします。」と言い、お店の人は「わかりました。在庫を出してきますね。」と答えていました。
この方は、MartinというメーカーのD-18シリーズであれば、試奏したギターでなくても良かったようです。
この場合には、ギターを「不特定物」として購入したことになります。
ですから、ギターに大きな欠陥があれば、「他の物に変えてほしい」ということができます。
でも、私は「このギター」と特定して買っていますから、「他の物に変えてほしい」という権利はありません。
欠陥があれば、それに応じた損害賠償請求などができるだけです。
楽器はどれもそうだと思いますが、同じ種類の同じグレードでも、音色は1つ1つ異なります。
当たり外れも大きいです。
5万円の当たりギターの方が10万円の外れギターよりも良い音がすることも珍しくありません。
ですから、通常は試奏して、「この1台」を選ぶことが多いと思います。
多くの場合は「特定物」になるんでしょうね。
「日常生活の法律問題」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。