暑い日が続きますね。
皆様も、熱中症にはくれぐれもご注意ください。
最近は、裁判の期日が少ないので、事務所で打ち合わせやご相談が多いです。
一日中事務所内にいると、外の暑さは感じませんが、冷房中にずっといるのも、体には良くないような気もします。
また、ジョギングでもやろうかと思います。
さて、前回に引き続き、憲法のお話です。
今回は、最高裁が教育委員会の戒告処分を適法とした事案について考えてみましょう。
事例としては、公立高校又は公立養護学校の教職員の方が、卒業式で、国旗に向かって起立して国歌(君が代)を歌わなかったり、伴奏を拒否したりしとことなどで、教育委員会から戒告処分を受けたというものです。
まず、①国旗に向かって起立して歌うことを命ずる職務命令には合理的な根拠があるのでしょうか。
最高裁は、合理的な根拠があると判断しているようです。
その理由として、教職員が地方公務員という地位にあること、その職務の公共性、生徒等への配慮、教育上の行事にふさわしい秩序の確保と式典の円滑な進行のために必要だったということをあげています。
では、②実際に、卒業式に対して影響はあるのでしょうか。
ここでは、一部の教職員だけが起立しないことが、卒業式における秩序や雰囲気を一定程度損ない、式典に参列する生徒へも悪影響を及ぼすとしています。
つまり、卒業式の厳かな雰囲気が損なわれてしまい、調子に乗って一緒に起立しない生徒がいたり、ざわついたりするということでしょう。
最後に、③処分を受ける職員の不利益の程度について検討しています。
戒告処分は、給与上の不利益としては、勤勉手当の1支給期間(半年間)の10%にとどまるものであったとしています。
給与自体が減らされるのではなく、勤勉手当の一部が支給されないだけなので、戒告処分による教職員の不利益はそれほど大きく無いとしたんですね。
このように、職務の公共性や秩序維持という利益と教職員の利益を秤にかけて、この事案では前者を重視したということになります。
利益を秤にかけて重さをはかるという「利益衡量」という考え方は、法律の解釈全般に共通するので、発想として持っていると良いと思います。
次回は、教育委員会の処分を違法とした事案をご紹介します。
「憲法のお話」のブログ過去記事についてはこちらをご参照ください。