先週の弁護士ドラマ「リーガル・ハイ」は離婚問題でした。
売れっ子芥川作家と元女子アナが離婚するというものです。
ドラマで双方が「妻の浪費」「妻の暴力」「夫の不貞」「夫の暴力」など言い合う姿は、離婚訴訟の主張でも良くあるものでした。
その事案は、妻側に相当有利なものでしたが、妻側の弁護士が妻の将来を考えて、当初の慰謝料3億円の請求をゼロにしたのは「なるほど」と思いました。
慰謝料3億円という額の現実性は別として、依頼者の人生まで見通した和解をするというのは、広い視野と懐の深さが必要ですね。
このような離婚訴訟も広い意味では民事訴訟に含まれるのですが、純粋に財産関係の争いとは性質が異なるので、区別して「家事訴訟」と呼びます。
扱う裁判所も、通常の訴訟を行う地方裁判所などではなく、家庭裁判所になります。
静岡県の本庁では、家庭裁判所は地方裁判所とは建物も全く別のところにあって区別されています。
他の県でも、同じ敷地内でも建物を別にしたり、同じ建物でも階を分けるなどして区別しているようです。
手続も民事訴訟手続とは異なる特殊性があります。
例えば、民事訴訟手続では欠席裁判と言って、第1回の期日に反論の書面(これを「答弁書」と呼びます。)をださないで欠席すると、裁判に負けてしまいます。
「欠席裁判」という例えのとおりですね。
ところが、離婚訴訟などの家事訴訟では、第1回の期日に答弁書も出さずに出席しなくても、少なくとも原告の本人尋問を行ってから、判決を下します。
財産関係の問題だけなら、本人の責任で、仮に真実と異なっる請求でも、放置した本人が悪いとも言えるでしょう。
でも、離婚だったり、親子関係の有無を決める裁判だったりする場合には、当事者だけでなく、子供や親族の生活や相続などに大きな影響を与えます。
例えば、本当は親子関係があるのに母親が親権者として出席しないばかりに関係が無いこととされたりすると、子供の将来に大きく関わります。
ですから、手続は民事訴訟手続よりも、合理性よりも、手続の適正を重視して行われています。
法律も、現在、「民事訴訟法」ではなく、「人事訴訟法」という法律で手続が定められています。
家事事件は、これから大きな改正がなされる予定なので、また、改正が施行されたら、その解説もしていきたいと思います。