「マイルス・デイヴィス」というジャズのミュージシャンの演奏を聴きながら、この記事を書いています。
裕福な家庭に生まれた彼は、若いうちからトランペットの才能を認められていました。
ところが、23歳の頃から麻薬におぼれる日々が続いて音楽活動も十分できなくなったようです。
その後27歳頃にようやく麻薬を断つことができてから、本格的な音楽活動を展開していったとのことです。
JAZZなど洋楽と麻薬との関係は根深いものがあるような気がします。
ビリーホリデイがそうだったように、麻薬は生活を破壊して、音楽活動をも破壊してしまうという歴史があります。
鋭い感性が麻薬を呼び寄せてしまうという皮肉な関係があるような気がします。
さて、今回は、懲戒解雇をするためには、どのような要件が必要かを考えてみましょう。
①まず、従業員の問題行動に対して処分が重すぎないことが必要です(処分の相当性)。
たとえば、従業員が20年も継続して問題なく勤務していたのに、自動車で人身傷害事故を起こしたというだけで、懲戒解雇するのは重すぎる処分だと言えます。
②次に、懲戒解雇は平等に行われなければなりません(平等性)。
同種、同程度の事案なのに、上司の好き嫌いで、懲戒解雇にしたりしなかったりすることは許されません。
その意味で、会社・法人の先例にも注意して、先例と矛盾するような懲戒解雇は避けるべきです。
③そして、大切な要件として懲戒解雇の手続が適正に行われることが必要です(手続の適正性)。
たとえば、就業規則や労働組合との協約で、懲戒解雇する場合には、弁解の機会を与えることを決めていたとします。
この場合には、従業員が刑法に反するような行為(酒気帯び運転による人身事故・巨額の横領など)をしたとしても、弁解の機会は与えなければなりません。
従業員が逮捕・勾留されていれば、警察署や拘置所に面会に行って、弁解を聞かなければなりません。
その上で、懲戒解雇をしないと、後で解雇無効として、その間の賃金請求や損害賠償請求を従業員から受ける可能性があります。
それでは、定めがなければ、弁解の機会を与えなくても良いかというと必ずしもそうとは言えません。
手続の適正というのは憲法31条によって規定されていて、民法や労働契約法を通じて、解釈の基準となります(憲法の間接適用)。
ですから、定めがない場合でも、懲戒解雇の手続は適正に行われる必要があり、従業員に弁解の機会を設ける手続をとることが望ましいんですね。
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