今年の芥川賞をとった田中慎弥さん。
インタヴューに対して
「当然っていう感じ」
という回答と無愛想な態度で話題になりました。
芥川賞を取りたくて取りたくて、選考委員だった川端康成を「刺す」とまで書いた太宰治が聞いたらなんて言うでしょう 笑
芥川賞なんて取らなくても、太宰治はそれ以上の作品を残しているのですから、結果的には選考委員に「勝った」のかもしれませんが。
田中さんや太宰治。
私は、こういう一風変わった人たちが結構好きです。
表現の自由を体現してくれているみたいで、うれしくなったりします。
ネット上でも表現の自由というのはもちろん保障されます。
とはいえ何を書いても良いという訳ではありません。
では、ホームページで、飲食店のランキングなどをするのは良いのでしょうか。
「美味しい店ランキング」という形であれば、出てくるお店には不利益はありませんから、違法ではありません。
ホームページ作成者の主観が入るとはいえ、見る方にとっても参考になるという面もあります。
では、「まずい店ランキング」はどうでしょうか?
これは、具体的に店名を出してやってしまうと、違法となる可能性が高いです。
意図的にある店を恨んでやったりすると、業務妨害罪という刑法上の罪にあたります。
また、そうではなく、本当に「まずい!」と思う店についてランキングをしていても、味覚というのは主観的なもので、客観的な事実ではありません。
ですから、表現の自由として真実性を伝えるために必要かという点でも疑問があります。
表現方法が不適切だと、名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性もあります。
また、民事上では、お店から営業妨害(不法行為)として損害賠償請求される可能性もあります。
これに対して、法的にボーダーにあると思うのが、最近話題になっている「やらせ投稿」です。
流している情報が真実か虚偽かというと、どちらとも言えず、ただ特定の店だけを大げさにほめているというだけです。
それを見てお店に行って「だまされた!」と思う人と、「なるほど」と思う人と両方いるのではないでしょうか。
特定のお店の営業を妨害している訳でもなく、お客をだましてお金を取っている(詐欺)とまでも言えません。
報道が大きい割には、警察も動かないし、訴訟沙汰にもならないのは、違法とまでは言い切れないボーダーラインにあるからなんですね。
もちろん、倫理的には好ましいことではないとは思います。
ただ、ネット上の情報は、事実を伝えているのか、ただの広告なのか紛らわしいものが多いのは確かです。
このブログだって、「事務所の広告じゃないか」と言われれば、そういう側面も否定できません。
ネットを利用する方も、賢くなって、自分にとって価値のある情報とそうでない情報を見分けていかなければならないんでしょうね。
インターネットと法律の過去記事はこちらをご参照ください。