今日は暖かいですね。
私は今日が一応仕事納めで、これから事務所の開設に向けた準備やお正月へ向けた準備をしていく予定です。
年末年始は、ブログの更新も1週間ほどお休みさせていただきます。
さて、今日は、母親のお腹の中にいる子の権利についてのお話です。
お腹の中にいる子のことを胎児(たいじ)と呼びます。
この胎児には法律上の権利はあるのでしょうか?
例えば、夫婦の妻が妊娠した後に、夫が死亡した場合、胎児は相続できるのでしょうか?
法律の勉強では、「胎児の権利能力」というタイトルで説明されるところです。
結論としては、胎児が生きて生まれてくれば相続できます。
民法は、胎児を「人」としては認めていないんですが、例外的に次の3つの場合にだけ「人」と同じ権利を認めています。
その3つとは
① 損害賠償の請求をする場合
② 相続する場合
③ 遺言で財産を贈る場合
です。
まず、①の場合の例としては、夫婦で妻が妊娠した後、医療ミスで生まれてきた子供に何らかの後遺症が残ったとします。
この場合、胎児が「人」と扱われなければ、母親のみが自分の母胎への侵害として損害賠償請求をするしかありません。
でも、胎児が生きて生まれてくれば、さかのぼって胎児も「人」だったと扱われますので、出生した後に、医療ミスの損害賠償請求をすることができます。
次に、②の例としては、夫婦で妻が妊娠した後、交通事故で死亡した場合が考えられます。
夫は死亡しているので、本来生きていれば得られた収入や慰謝料の損害賠償請求を加害者にすることはできません。
そこで、相続人がその請求をすることになります。
この場合、妻はもちろん夫の損害賠償請求権を相続できますし、先ほどの民法の規定によって、胎児も相続ができるんです。
ただ、胎児の相続には条件があって、胎児が生きて生まれてくることが必要です。
つまり、死産の場合には、最初から胎児は相続しなかったことになります。
そうすると、相続権の第2順位の直系尊属(父母・祖父母など)、第3順位の兄弟姉妹がいれば、妻とともに相続することになります。
夫の兄弟姉妹が、自分が相続権を得るために胎児の死産を狙うなどの推理小説が書けそうですね。
最後に③の例です。
「お祖父さんが、息子には財産をやりたくないが、孫にはあげたい。」と思っている場合、遺言で胎児に財産を送ることができるんです。
もちろん、これも胎児が生きて生まれてくることが条件として有効となります。
このように、民法は胎児を原則としては「人」とは扱いませんが、生きて生まれることを条件に、重要な権利だけは認めているんですね。
それでは、皆様、良いお年を!
相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。
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