最近、9月なのに30度を超えたり、いきなり今日のように涼しくなったりして、体調を崩しやすいと思います。
皆様も、お体にお気を付け下さい。
民法の勉強をしていると「内縁の妻」という言葉が出てきます。
何となく、愛人みたいな響きがあるかもしれませんが、法律の世界では意味が異なります。
内縁の妻というのは、婚姻届は市役所等に出していないけれど、実質的には夫婦と同じ生活をしている男女の女性の方を指して言います。
つまり、当事者は夫婦のつもりだし、周りの人たちも夫婦として扱っているんですが、戸籍には夫婦の記載がされていないという場合ですね。
昔は、結婚式をあげて同居していても、跡継ぎを生むまでは嫁の籍は入れない場合などがありました。
今では、そのような例は少ないですが、当事者の意思で籍を入れなかったり、届出自体を重要だと考えていなかったりなどのケースがあります。
内縁の妻は、実体は夫婦と同じなので、夫婦に認められる権利はできるだけ認めていこうとするのが判例です。
では、夫婦と同様に扱われるのは何があるのでしょうか。
まず、内縁の夫が内縁関係を不当に破棄すると、内縁の妻の地位の侵害として、損害賠償の義務が発生します。
また、婚姻生活の実体を有することから、お互いに扶助をする義務があり、生活費の請求をすることができます(婚姻費用の分担)。
更に、夫婦が離婚するように、内縁の夫婦が別れる時には、内縁の妻には財産分与の請求も認められます(夫の方にたくさん財産がある場合)。
では、相続はどうでしょう?
これは残念ながら認められません。
内縁の夫が死亡しても、内縁の妻は、内縁の夫の財産を相続できません。
昔は、死亡による内縁関係の解消についても、離婚の時の財産分与の規定を類推適用して、財産を受け継がせるという審判例もありました。
でも、最高裁判所は、そのような類推適用を明確に否定しています。
なお、類推適用というのは、本来、法律が予定している場面ではないんですが、事案が類似して、法律の趣旨が共通するような場合に、法律を少し修正して適用するという解釈方法です。
相続関係は、形式的に処理しないと紛争が絶えないという政策的な目的もあったかもしれません。
どうしても、夫又は妻の財産を他方の死亡後に受け取りたければ、籍だけは入れておくか、しっかりと遺言を書いておく必要があるということですね。
相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。
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