今日は引き続き、相続人の資格がなくなる場合(相続欠格~そうぞくけっかく)について、お話をしていますね。
民法で定めている相続欠格の事情の中で、実際に、世の中で一番多く行われているのは何だと思いますか?
私の経験では、遺言書を隠したり、破いたりする行為ではないかと思います。
民法は「遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」は相続人となれないと定めています。
たとえば、父親が亡くなって、一緒に暮らしていた長男が遺品を整理していたところ、遺言書がみつかったとしましょう。
中をこっそり読んでみると、「長男が暮らしている実家の土地・建物も含めて、兄弟姉妹4人で均等に分けること」などと書いてあります。
「冗談じゃない。親父のめんどうを最後までみたのは誰なんだ!」
「今、住んでいる家まで、どうしてやらなければならないんだ。」
長男の実感はこんなところでしょう。
そこで、長男は、その遺言書をこっそりと破って捨ててしまいました。
このような場合、後に、長男の行為がばれると、長男は相続人としての資格を失ってしまいます。
相続の問題で、「遺言者があったはず」と言いつつ見つからず、誰かが隠したか、捨ててしまったかが予測されるケースは結構あります。
相談を受けていても、遺言書を、破いて棄てることがそんなに重い責任になるとは思っていない方も多いようです。
手書きの遺言書をみつけたら、必ず、相続人全員に明らかにして、家庭裁判所で検認(けんにん)という手続きを受けましょう(検認についてはまた別の機会にご説明しますね)。
逆に、遺言を書かれる方は、せっかく書いた遺言書を隠されたり、捨てられたりしたくなければ、
① 公正証書で遺言を書いて、
② 弁護士に遺言とおりに財産分けをしてもらう(これそ「遺言執行」と言います。)よう依頼する
とよいと思います。
相続の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。
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