結婚や離婚が有効に成立するためには、法律用語で「婚姻の意思」「離婚の意思」が必要です。
ただ、「離婚の意思」の方は、実は、多くの方の常識とズレているのではないかと思います。
まず、結婚する場合には、婚姻届を市役所(区町村役場)に提出します。
たとえ、届出がされても、署名した男女2人に「婚姻の意思」がないと、その結婚は無効です。
ここで言う「婚姻の意思」というのは、「実際に夫婦としての関係をつくろうとする意思」、つまり、夫婦として同居して一緒に生活を営んでいく意思が必要なんですね。
ですから、たとえば、日本での適法な長期の滞在許可を得るために、外国人女性が日本人男性との婚姻届を出しても、それは無効ということになります。
ところが、「離婚の意思」というのは、「離婚の届け出をする意思」さえあれば良いというのが裁判例なんですね。
つまり、本心では別れるつもりがなくても、形だけ離婚の届出をする意思さえあれば離婚は有効になってしまうんです。
ですから、次のような場合でも、離婚の届出は完全に有効です。
① 夫に多額の借金があって、夫婦でいると、事実上、妻にまで追及が及ぶかもしれないので、借金の問題解決まで、離婚したことにしようとして届け出をした場合
② 生活保護を受けていた夫婦で、妻が働き出したら、その給与が生活保護費から差し引かれてしまうので、差し引かれないように「離婚したことにしよう」と届出をした場合
なんとなく、これらの離婚が有効になるのは不自然な気もします。
もっとも、たとえば②の事案は、一家4人で生活保護を受けていた夫婦の夫が肺がんになってしまったケースです。
夫の療養費(生活保護ではカバーできない分)や生活費のために、妻が働き始めたけれど、収入が入ったらその分生活保護費から差し引かれてしまいます。
そこで、家族の生活を維持していくために、やむをえず離婚届を出して、今までと同額の生活保護費をもらって生活を維持していたんですね。
こう考えると、「しょうがないかも」とも思えます。
裁判例での考え方をまとめると、結婚は成立しにく、離婚はしやすくなっているようです。
離婚の一般的なご説明についてはこちらをご参照ください。
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