刑事事件は、小説やドラマでは見ますが、今まで関わってこなかった方が多いんじゃないでしょうか。
ただ、今年から裁判員制度が始まったことで、皆さんも今後、刑事事件を判断する立場になるかもしれません。
ということで、少し刑事事件の話もしてみようかと思います。
ほとんどの弁護士(東京を除く)は、順番に裁判所からお呼びがかかって、刑事裁判で国選弁護人(こくせんべんごにん)という役割を引き受けています。
多くの弁護士の仕事は民事事件が中心ではあるんですが、法律家を目指す人たちは、たいてい刑事裁判に興味や熱意があるので、刑事事件も引き受けるんですね。
その刑事裁判には、裁判官(さいばんかん)・検察官(けんさつかん)・弁護人(べんごにん)が普通は必要です。
たとえば、Aさんが窃盗を犯した疑いで警察につかまったとしましょう。
この段階のAさんを、罪を犯したと警察に疑われている人ということで、被疑者(ひぎしゃ)と呼びます。
警察が取り調べた後、さらに検察官がAさんを取り調べます。
その結果、検察官が「裁判にかけることが必要だ」と判断したら、裁判を起こします。
このように検察官が裁判を起こすことを起訴(きそ)と言います。
起訴されると、Aさんの呼び名は、被疑者から被告人(ひこくにん)に変わります。
Aさんを取り調べた調書には、①犯罪事実の他に、②Aさんの生い立ちや、③Aさんがいかに身勝手な気持ちで犯罪をしてしまったか、④被害者がどれほど許せない気持ちになっているか、などがくわしく書いてあります。
でも、Aさんはひょっとしたら無罪かもしれません。
いきなり会社をクビになり、住むところも無く追い出されたので、窃盗で食いつながなければ死んでいたのかもしれません。
また、今頃の季節になると、住むところも職も無い高齢者が、「刑務所に入った方が生きていけるかも・・・」という感覚で窃盗をしてしまうこともあります。
このように、実際に被告人(Aさん)に会って話をすると、被告人(Aさん)が警察や検察官が言うほどひどい人間ではないことも多いんです。
そこで、弁護人は、被告人に有利なことをできるだけ主張して、一方的に被告人が悪人になって、えん罪(無実の罪)や重すぎる刑が科されないように注意していきます。
そして、裁判官は、公平な立場から、Aさんが罪を犯したかどうか、Aさんにはどの程度重い責任があるのかを判断して、判決をする立場です。
裁判員になると、この裁判官と同じ立場で判決を考えていくことになります。
刑事弁護についての基礎知識についてはこちらをご参照ください。
今後のブログのテーマ選びの参考のため、「いいね」ボタン(Facebook・Twitter・Google+)でご感想↓をいただけると嬉しいです。