書面にしないと効力が弱い契約。
それは「贈与(ぞうよ)契約」です。
贈与契約とは、ある人が、無償で、相手方に財産権を移転する契約を言います。
つまり「タダであげる」という契約です。
例えば、皆さんが、友達から、タダで自動車をもらうような場合です。
この贈与契約は、保証契約と違って、契約自体は口約束でも有効です。
でも、口約束だけで、まだあげる物が渡されていない段階だと、あげる方からも、もらう方からも、いつでも取り消しができます。
ですから、皆さんは、友達から「やっぱりやめた」と言われても、法律的には文句はいえません。
どうしてこのような規定があるのでしょうか?
昔の判例によると、次の意味があるといわれています。
① 贈与の意思を明確にして
② 軽率に贈与をしないように注意してもらう
ことで、紛争の発生を防止する。
友達や恋人など親しい関係では、あげるのか、貸すのか不明な場合や、つい調子にのって「あげる」などと言ってしまうことってありますよね。
その場合に、「契約だから絶対に守ってもら!」うとしてしまうと、後から「やっぱりイヤ!」となった場合、「約束が違う!」などと争いが、大きくなってしまいかねません。
例えば、さっきの「自動車をあげる」という口約束が、裁判や調停にまでなってしまうなどですね。
これは、あまり望ましくないので、口約束は取り消し(撤回~てっかい)ができると定めたんです。
もし、皆さんが、友達から「やっぱり、自動車をあげるのやめた!」と言われたくなければ、しっかり「どの自動車を、誰が、誰に、あげるのか」がわかるような書面を作るしかありません。
「タダであげる」という口約束には期待しない方が良いということですね。
こう見てくると、民法は、軽い気持ちで行わせない方が良い契約について、例外的に、書面ですることを求めているようです。
「契約のお話」の過去ブログ記事についてはこちらをご参照ください。