弁護士の谷川です。
9月になるのに、まだ暑いですね。
今回は、破産の項目でも説明はしていますが、破産しても奪われないで
残すことができる財産についてご説明します。
そのような残すことができる財産のことを「自由財産」と呼びます。
その自由財産は、大きく分けると次の5つになります。
① 99万円以下の現金
② 民事執行法で「差押禁止財産」と言われているもの
③ 権利の性質上、差押えの対象とならない財産
④ 裁判所が自由財産として認めた財産
⑤ 破産管財人が管理の対象から外して法規した財産
このうち①で注意しなければならないのは「現金」という言葉です。
言葉のとおり現ナマを指すので、預金は含みません。
残したい預金は④で自由財産として裁判所に認めてもらう形となります。
②の差押えが禁止されているのは、生活の維持のために必要なものや政策的な理由によるものなどがあります。
例えば、衣服、家具・家電、台所用品など生活に必須な物は差押えが禁止されているので、破産のときにもそのまま自由財産として確保できます。
また、公的年金・失業手当の給付請求権、中小企業退職金共済、小規模企業共済なども自由財産として確保できます。
そして、③の例としては金額が確定していない慰謝料請求権があります。
これは、その人の精神的な痛みという性質上、第三者が介入すべきものではないので、自由財産とされています。
但し、慰謝料請求権が加害者との合意や裁判で、具体的に「●●円」と金額が確定している場合には、普通の債権と同じように扱われて自由財産とならない場合があることに注意が必要です。
更に④は、預金や生命保険、火災保険、自動車保険など、どうしても解約したくない財産について、裁判所に申し立てて自由財産としてもらいます。
最後に、⑤は破産管財人が不要と考えて放棄した財産です。
管財人が、お金に変えて債権者に配当する対象としては無価値だと考えた財産になるため、例えば解約の手数料の方が高くなってしまう預貯金、誰も買ってくれない山林や古い建物のような不動産などがあります。
これは、破産した方にとっても要らないものであることが多いのですが、管財人が放棄をすれば自由財産として戻ってくる形となります。
このように、何を自由財産として管財人や裁判所に申請するかは、なかなか難しいので、弁護士などの専門家と相談しながら決めていくと良いと思います。