民法改正(令和2年4月1日施行)
債務不履行となる場合の要件を整理しました。
1 全ての債務不履行についての損害賠償の要件を整理(415条1項)
・旧法では、履行不能についてだけ、債務者に責任がある事情(帰責事由)を定めていました。
・しかし、解釈上、この帰責事由は全ての債務不履行に共通するものであるため、これを「債務の本旨に従った履行をしないとき」も含めて、全ての債務不履行の要件として規定しました。
・条文の形式を、債務不履行があれば、原則として債務者は損害賠償の責任を負い、債務者に責任がない事由によるときだけその責任を負わないと規定しました。
これにより、債務者の方が自らに責任がないことを証明しないと損害賠償の責任を負うことが明文化されました(立証責任の明確化)。
・帰責事由が給付内容や不履行の態様から一律に定まるのではなく
① 債務の発生原因となった契約に関する諸事情
② 取引に関する社会通念
も勘案することを規定の中で明確にしました。
2 帰責事由の判断枠組みの明確化(415条2項)
・債務の履行に代わる損害賠償(填補賠償)の請求ができる場合を、従来の解釈を参考にしつつ3類型に定めました。
① 履行が不能であるとき
② 債務者が拒絶の意思を(後に意思が変わることがないほど)明確に表示したとき
③ 契約を解除したとき,又は債務不履行による解除権が発生したとき