民法改正(令和2年4月1日施行)
損害が生じる範囲(相当因果関係)の要件が見直されました。
特別の事情に基づく損害賠償の要件の見直し(416条2項)
・旧法:「予見し、又は予見することができたとき」
改正法⇒「予見すべきであったとき」
・旧法では、債務者が「予見することができたとき」に損害賠償の責任を負うと規定されていました。
・この解釈を、実務では債務者自身が予見することができたか否かではなく、「一般的な人であれば予見できたかどうか?」という基準で解釈していました。
・この解釈によると、「一般的な人であれば予見できたとき=予見すべきであったとき」となり、これを明文化したことになります。
【予見すべきとは言えない場合の具体例】
例えば、土地がA→B→Cと転売されたとき、Aが土地の名義を移転できないというような債務不履行があったとします。
この場合、AはBに対して損害賠償の義務を負います。
もっとも、その損害賠償の範囲は「Aが予見すべきであった」範囲に限られます。
そこで、例えばBとCとの間で、債務不履行があったときには高額の損害賠償金を支払う約束となっていて、Bがその賠償義務を負ったとしても、Aが契約時にそのことを知らなかったのであれば、AはBにその高額の損害賠償を支払う義務まではありません。