民法改正(令和2年4月1日施行)
債権の目的に関する改正がされました。
1 善管注意義務の内容や程度の明示(400条)
これまで「善良な管理者の注意をもって」とだけ規定されていましたが、その判断をどうするかについては規定さえていませんでした。
実務では、善良な管理者としての注意義務の内容は、一律に決められるものではなく、契約の性質、その契約の具体的な目的、契約の締結に至る事情を前提に取引上の社会通念に基づいて判断されるとされていました。
そこで、その実務の取り扱いを条文上も明確にするため「契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる」と明確に規定しました。
2 選択債権の特定要件の見直し(410条)
選択債権の場合、旧法では、選択債権の給付に不能なものがあるとき、例えば給付する自動車が交通事故で全損してしまった場合には、他の残る債権が当然に債権の目的となるとしていました。
しかし、その全損により多額の保険金が出るような場合には、不能な給付を選択する事もあり得ます。
逆に、その交通事故が選択する権利を持つ人(選択権者)の過失によるものだった場合には、そのような有利な選択権を持たせるべきではありません。
そこで、給付の不能が選択権者に過失がある場合にだけ、残存する給付が当然に債権の目的となると改正しました。