意思表示~錯誤の規定を修正

民法改正(令和2年4月1日施行)

錯誤(95条)の規定が改正されました。

 

1 要素の錯誤を以下の2要件として明文化した。

① 錯誤に基づき意思表示がされていたこと(主観的な因果関係の存在)

② 錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであること(客観的な重要性の存在)

旧法でも錯誤の解釈の基準となっていたことを、条文で明確にしたものです。

 

2 錯誤が認められる場合の法律効果を改正した。

・旧法「無効」⇒改正後「取消」

意思表示に欠陥がある場合には、取消できることとして統一したものです。

 

3 意思表示の錯誤と動機の錯誤を整理して明文化

・意思表示の錯誤とは「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」。

・動機の錯誤とは「表意者が法律行為の基礎とした事情についてその認識が真実に反する錯誤」。

・このように、旧法では条文にはなく、解釈で導き出されていた「動機の錯誤」を明文化して整理しました。

・旧法の解釈と同様、「動機の錯誤」の場合、取消をするためには、動機が表示されていること必要であることも明文化しました。

 

4 表意者に重過失ある場合でも取消ができる場合

・表意者に重過失があっても、以下の2つの場合には取消が可能です。

① 相手方に悪意又は重過失ある場合

② 共通錯誤の場合

【共通錯誤の例】
 双方ともゴルフ場会員権の価値400万円と評価しいたが、6000万円の払戻金が売主になされたようなケース。

 

5 第三者を保護する規定の新設

・錯誤取り消しの場合には、善意・無過失の第三者は保護されることとしました。

 

「民法改正R2.4.1」トップへ

カテゴリー: 民法改正(令和2年4月1日施行)内容の整理, 民法全体の総則の条文改正   パーマリンク

コメントは受け付けていません。